強皮症の線維化発症機構の研究-IL-1αの転写亢進に関与する核内因子の同定

1998 年度 実績報告書

• 研究課題/領域番号: 10770211
• 研究機関: 東京女子医科大学
• 研究代表者: 川口 鎮司 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90297549)
• キーワード: 強皮症 / IL-1α / 転写因子

研究概要

強皮症患者由来の線維芽細胞を培養し、1X107個の細胞より核抽出液を作製した。正常線維芽細胞からも同様に核抽出液を作製し、IL-1α遺伝子のcis-element部位をプローブとし、ゲルシフトアッセイを行った。その結果、強皮症線維芽細胞の核抽出液にのみ、特異的なバンドが認められた。IL-1α遺伝子の塩基配列より核内因子の同定を試みたが、supershiftassayでは、明かなバンドの移動は見られず、新たな核内転写蛋白の存在が示唆された。そこで、次に、IL-1αのcis-elementの塩基配列をプローブとし、yeast one-hybrid systemを用いて、強皮症線維芽細胞のcDNAライブラリーからスクリーニングを行った。得られたyeastのコロニーから、プラスミッドを抽出し、塩基配列を決定した。現在までに、20以上のクローンを解析し、NCI Gene Bankのデータを用いて、ホモロジー検索を行った。そのうち、既に転写因子として報告されている蛋白質とBankに未登録のものが得られた。未登録の遺伝子は、正常の線維芽細胞には発現しておらず、強皮症線維芽細胞に特異的に発現していた。強皮症線維芽細胞のphenotypeにとって重要と考え、in vitro transcription and translation法を用い蛋白質の作製を行い、IL-1α遺伝子のプローブとともにゲルシフトアッセイを行い、強皮症線維芽細胞の核抽出液を用いた時の泳動パターンとほぼ同様であった。

研究成果

• [文献書誌] Kawaguchi Y,et al: "Role of endogenous IL-1a of fibroblasts from patients with systemic sclerosis." J.Clin.Invest.(in press).
• [文献書誌] Kawaguchi Y,et al: "Increased hepatocyte growth factor in sera of patients with systemic sclrosis" J.Rheumatol.(in press).
• [文献書誌] Kawaguchi Y,et al: "Pulmonary hypertension in a patient with systemic lupus erythematosus improved with PSL pulse therapy." Clin.Exp.Rheumatol.16. 510 (1998)
• [文献書誌] Kawaguchi Y,et al: "IL-1a gene expression and protein production by fibroblasts from patients with systemic sclerosis." Clin.Exp.Immunol.97. 445-450 (1994)
• [文献書誌] Kawaguchi Y,et al: "Increased endothelin-1 production in fibroblasts derived from patients with systemic sclerosis." Ann.Rheum.Dis.53. 506-510 (1994)