[目的]慢性関節リウマチ(RA)の滑膜において個々のT細胞の機能を解析する.[方法]RA患者の関節液より単核球を分離、特定のBVファミリーに対する抗体で染色し、セルソーターによりそのBV陽性T細胞を単一細胞に分離、採取する。個々の細胞から、RNAを抽出しcDNAに変換、PCR法によりT細胞受容体β3鎖を増幅し(single cell PCR法)、個々のT細胞によって配列の異なるCDR3の部分の塩基配列を決定し、クローナルに増殖しているT細胞を同定する.個々のT細胞について、CD4、CD8、CD25、CD69、IL-10、IFN-γなどのmessenger RNAが発現されているか否かを同様にsingle cell PCR法にて検討する.これらの細胞表面分子の発現またはサイトカイン産生のパターンから各T細胞の機能を評価し、局所で実際に機能しているT細胞クローンを同定する。[結果]22個のRA関節液由来がBV8陽性T細胞が得られた。CD4陽性は14個(74%)、CD8陽性は6個(27%)で、CD4^+CD8^+、CD4^-CD8^-が各1個ずつ検出された(4%)。CD69陽性が10個(45%)、CD25陽性が1個(4%)、IFN-γ産生細胞が5個(23%)認められた。全てのIFN-γ産生細胞はCD4陽性であり、うち4個がCD69陽性(18%)、そのうち1個はさらにCD25B性であった(41%)。IL-10産生細胞は認められなかった。増殖T細胞クローンは、細胞数で各2個ずつ3クローン検出された(全19クローン).CD4陽性が2クローン、CD8陽性が1クローンであり、CD4陽性のうち1クローンがCD69陽性のIFN-γ産生クローンであった.[結論]CD4陽性CD69陽性のIFN-γ産生クローンが、増殖T細胞クローンおよび増殖していないT細胞クローンの両集団に認められ、このThl型T細胞がRAの関節において機能し、病因に関与している可能性が示された。
|