本年度はまず研究計画に従い以下の結果を得た。 (1) Survivin mRNAの発現。 まず大腸癌におけるアポトーシス抑制蛋白であるsurvivinの発現を特異的プライマーを用いたRT-PCR法により検討した。培養大腸癌細胞ではすべての培養株においてその発現を認め、特にSW480に発現が強くみられた。またいくつかの培養肝細胞癌においても発現していたが大腸癌より発現強度は低かった。 (2) Survivin 蛋白の発現。 survivinのアミノ基末端の合成ペプチドをウサギに免疫し、その血清をアフィニティー精製し抗体を作成した。抗体の特異性はrecombinant survivinにより確認した。本抗体を用いてWestern blottingを施行したところ、すべての培養大腸癌細胞、特にSW480およびいくつかの肝癌細胞においてMr16.5Kの蛋白の発現を認めた。 (3) Survivin 蛋白の局在。 上記作成抗体を用い培養大腸癌細胞のHT-29とSW480をsurvivinの免役蛍光染色を施行した。両培養細胞とも約30%の細胞に核に局在を認めた。よって、survivinは核内蛋白に影響をおよぼしていると考えられた。細胞周期や各種ストレスに対する影響を現在検討中である。
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