研究概要 |
C型肝炎ウイルスに感染している患者のうち,G型肝炎ウイルスにも感染している患者は約10%に認められた.このうち,C型肝炎ウイルスに対するインターフェロン治療を受けた患者において長期にG型肝炎ウイルスが排除された例は少なく,このウイルスはインターフェロン治療により完全には排除されにくいと想像された.この患者血清を用いてPH5CH細h包に感染させたところ,PCR法によって約30日目までウイルスのプラス鎖の存在が認められたが,マイナス鎖については検出されなかった.これは検出方法の感度より感染しているウイルス量が少ないためマイナス鎖まで検出できないものと想像される.現在,このin vitroの感染系を用いてインターフェロンを培養液中に混ぜることにより,G型肝炎ウイルスが排除されるか否かを検討中である. 一方,C型肝炎ウイルスに関しては臨床検体を用いることにより宿主側の因子がインターフェロン感受性に大きく関わっている可能性を示した.これはmRNAレベルでその受容体であるIFN-AR1,IFN-AR2がともに検出される場合において有意にインターフェロンの感受性が良いことが確認された.さらに多変量解析では,これまで報告されているウイルスのタイプ,量よりも受容体の存在が重要であるという結果であった.G型肝炎ウイルスについても同様のことが認められるか否かを検討中である.
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