平成10年度、我々はリアルタイムな大腸腫瘍形態の定量化とその悪性度との相関性に関して以下の検討を行った。以前我々は大腸表面型腫瘍の陥凹部を定量化し、我々が考案したF-circleというパラメーターが腫瘍の悪性度と相関性があることを報告してきた。そこで本研究では内視鏡的に切除されてきた陥凹の認めない大腸表面型腫瘍115病変の病理標本を使い、その腫瘍辺縁を画像解析装置によりF-circleを使って定量化し、病理学的悪性度との相関性について検討した。方法は拡大内視鏡によって表面構造および微細腺管開口部構造を十分観察された陥凹の認めない大腸表面型腫瘍を内視鏡的に切除した。切除後の標本を10%ホルマリン液にて固定し、48時間後カラチヘマトキシリン溶液にて染色、その画像を画像解析装置に取り込み、腫瘍の辺縁形態のF-circleを測定した。測定後最大割面でプレパラートを作成し病理組織学的に診断、F-circleと悪性度との相関性を解析した。その結果F-circleは軽度または中等度異型腺腫で0.709±0.115(mean±SD)、高度異型腺腫で0.619±0.149、癌で0.536±0.133と腫瘍の悪性度が高くなるほど腫瘍辺縁のF-circleが有意に低下していくことを証明した。すなわち大腸表面型腫瘍に関しては陥凹がある場合はその陥凹部の形態を、陥凹がない場合はその辺縁部の形態をコンピューターに画像を取り込みF-circle測定することにより、その腫瘍の悪性度をリアルタイムに評価できる可能性があると考えられ、次のリアルタイム内視鏡的画像解析の研究におおいに役立つことと思われた。
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