自己免疫性肝疾患の肝内浸潤Vα24JαQ陽性T細胞の動態と機能を解析し、免疫学的寛容維持を含めた免疫動態への関与を明らかにすることが、本研究の目的である。患者さんに、生検材料の一部を本研究に用いることを説明し同意した後に得た肝生検組織の一部を検討し、以下の結果を得た。 1.自己免疫性肝炎では、検討例の半数で肝内にVα24JαQ遺伝子断片が検出された。非検出症例は検出症例に比し、ALT値が高値で、組織学的活動性が強く、UDCA治療抵抗性でステロイドが必要であった。 2.原発性胆汁性肝硬変症、慢性C型肝炎においては、組織学的活動性、ALT、ALP値のいかんに関わらず、全例で肝内にVα24JαQ遺伝子断片が検出された。 3.自己免疫性肝炎で肝内にVα24JαQ遺伝子断片が検出された例のVα24遺伝子クローニングを行うと、JαQ遺伝子陰性例の方が多く、一方、原発性胆汁性肝硬変症、慢性C型肝炎ではJαQ遺伝子陽性例の方が多かった。 以上より、自己免疫性肝炎の発症にVα24JαQ陽性T細胞欠損による免疫寛容破綻が関与すると考えられた。
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