研究概要 |
アルコール肝障害にて入院した患者の血清を患者承諾の上、材料として用いた。サンプリソグは飲酒時(入院時)、および禁酒1ヶ月後に行い、20例以上を対象とした。また、比較対象として健常者5例も行った。 1. レクチン親和電気泳動の結果、健常者においてConAに結合するバンドとして陰極側よりC1,C2,C3の3本のバンドとして分離された。一方、入院時の血清では、C1とC2、C2とC3との開にそれぞれC2'、C3'とするエクストラバンドを認め、しかも禁酒1ヶ月後のペア血清ではそれらのバンドはいずれも消失していた。 2. CDTが4%以上のアルコール性肝障害患者のほぼ全例にC3'の出現を認め、部分精製したCDTに対してConA親和電気泳動を行いエクストラバンドとの比較をしたところ2本のバンドに分かれC2'、C3'に一致した。以上よりCDTは、単にシアル酸が取れたものではなく糖鎖そのものに変異が起こっていることが明らかとなった。 3.C3'の出現を認めたアルコール性肝障害患者において肝機能検査、およびCDTとの相関を検討したところ、γGTP、CDTとは相関を認めたもののAST、ALTとは相関を認めなかった。 4. アルコール性以外の肝障害であるウィルス性慢性肝炎、肝硬変、肝細胞癌の患者血清についても患者承諾の上、サンプリングし、糖鎖変異についてレクチン親和電気泳動で解析した。健常者においてLCAに結合するトランスフェリンのバンドとして陽極側よりL1,L2の2本のバンドとして分離された。レクチン分画の定量化をデンジトメトリーにて行った結果、疾患の重症度に応じてL2分画比の増加を認めた。
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