研究課題
抗菌ペプチドであるhuman β-defensin-1(hBD-1)とhuman β-defensin-2(hBD-2)のヒト気道での遺伝子発現をRT-PCR法で解析し、肺組織と気管支肺胞洗浄液の細胞成分に両ペプチドのmRNAを認めた。化学合成したデフェンシンの大腸菌に対する抗菌活性をradial diffusion assay法とcolony count assay法で測定し、hBD-2、human neutrophil peptide-1(HNP-1)、hBD-1の順に、濃度依存性に抗菌活性を認めた。colony count assay法での50%コロニー減少濃度はhBD-2が0.46nmol/ml、HNP-1 2.15nmol/ml.hBD-1 99.3nmol/mlであった。特異的で高感度なhBD-1とhBD-2のradioimmunoassayを確立し、肺組織含量、気管支肺胞洗浄液および血漿濃度を定量した。肺組織含量はhBD-1は0.15±0.13fmol/mgで、hBD-2は2.72±0.16fmol/mgであった。健常人の気管支肺胞洗浄液中濃度は、hBD-1が39.4±23.4fmol/mlで、hBD-2は0.09±0.06fmol/mlであった。健常人の血漿濃度はhBD-1が1.4±0.06pmol/mlで、hBD-2は8.3±0.9fmol/mlであった。細菌性肺炎患者の急性期には血漿hBD-2濃度は34.2±3.4fmol/mlと上昇し、治癒に伴い正常化した。血漿hBD-1濃度は細菌性肺炎では変動しなかった。βデフェンシンは気道に存在する抗菌物質として、生体防御に関与していることが示唆された。
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