• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

1998 年度 実績報告書

神経細胞の酸化ストレスとその防御因子に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号 10770289
研究機関九州大学

研究代表者

大八木 保政  九州大学, 医学部, 助手 (30301336)

キーワードアルツハイマー病 / 酸化ストレス / アミロイドβ蛋白 / 神経細胞 / アポトーシス / 細胞防御 / 熱ショック蛋白 / プロモーター
研究概要

アルツハイマー病(AD)脳では神経細胞死に酸化ストレスが深く関わっている。またアミロイドβ(Aβ)という4kDの不溶性蛋白が沈着し老人斑と呼ばれており、この沈着もAD脳における神経細胞死と深く関わっていると考えられている。我々は油脳におけるAβ沈着に対する酸化ストレスの影響を考え、初代培養神経細胞を過酸化水素処理してAβのin vitroでの沈着を試みた。その結果、油脳に特異的なAβ42が沈着するのは神経細胞内であることを発見した。またこのAβ42沈着は過酸化水素以外のアポトーシスを誘導する薬剤で見られたが、ネクローシスを誘導する薬剤では見られなかった。さらに油脳組織を調べたところ、同様にAβの神経細胞内沈着を認めた。従って、アミロイド沈着は油脳でも神経細胞内に始まり、これは神経細胞のアポトーシスプロセスに関連しているらしい。この細胞内Aβ42沈着は酸化ストレス負荷後早期に見られ、何らがの神経細胞の自己防御機構である可能性がある(投稿中)。一方我々はゲルシフトアッセイにより、高分子化Aβ42が熱ショックプロモーターのDNA配列に結合することを見出した。細胞内Aβ42は様々な熱ショック蛋白の発現を誘導することで神経細胞の自己防御機構の一部を担っている可能性がある。油脳の神経細胞が熱ショック蛋白を過剰に発現していることが知られており、以上の結果は油脳の神経細胞が過剰な酸化ストレスにさらされ、それに対して細胞内Aβ42が熱ショック蛋白の発現を増強し、細胞保護的に働いている可能性を示唆する。老人斑の沈着は、この防御機構の一つの結果かもしれない。一方で油脳の多数の神経細胞はアポトーシスプロセスに陥っていることが最近報告されており、この防御機構の異常が神経細胞死を促進する可能性もある。今後この点の検討を進めていく予定である。

URL: 

公開日: 1999-12-13   更新日: 2016-04-21  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi