研究概要 |
神経科学領域における遺伝子標的破壊マウス作成に関する国際的な趨勢(Ncuron,19:755等)に鑑み、本研究に用いるES細胞としては129sv系統由来のものを用いることに計画を変更した。まずターゲティングベクター構築のための相同性DNA断片単離のため、マウス129sv系統ゲノムDNAライブラリー(米Stratagene社)をマウスGβ2 cDNA(神戸大学・黒田俊一博士より分与)をプローブとして検索し、Gβ2遺伝子を含む約18KbのゲノムDNA断片3種類を得た。それぞれの断片に関して、制限酵素マッピング、サブクローニング、一部のシークエンシングなどの解析を行い、Gβ2全コーディングエキソンについてエキソン/イントロン境界を同定した後、ターゲティングベクター作成計画を策定した。Gβ2遺伝子標的破壊のためのネオマイシン耐性遺伝子発現カセットは第3コーディングエキソンに挿入することとし、相同組換え体同定の手段(サザンブロッティングないしPCR)およびネガティブ選択の手段(TK、DT-Aないし選択なし)に応じて、予めデザインの異なる複数種のベクターを計画、それら全ての作成を完了した。 その後、相同組換え体検出のための予備実験として、PCRのためのプライマーおよび反応条件の検証、またサザンブロッティングのためのプローブ検証などを行い、いずれも至適な条件を既に確認した。今後はターゲティングベクターのES細胞への導入と相同組換え体の同定、それらの胚盤胞への導入によるキメラ動物の作成、さらにキメラ動物と129svマウスとの交配によるペテロ接合体マウスの確立とホモ接合体マウスの作成を行い、それらの表現形を当初計画に沿って解析する計画である。
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