研究概要 |
体性感覚誘発電位(SEP)は神経叢,神経根,頚髄,脳幹等の機能評価の手段として,広く臨床応用されているが各成分の起源については今だ議論されているのが現状である.早期成分の一つであるP9の起源についても様々な意見がある.我々はP9は体幹から頚部への容積導体の大きさの変化から生じるjunctional potentialと考えており,本研究はそれを証明しようというものである. 本年度は,健常者約10人を対象とし体表面に広汎に電極を設置して多チャンネル同時記録によって各成分の分布を検討した. その結果,頭・頚部ではP9が,体幹・下肢では円と潜時の同じ陰性電位truncalN9が記録されその境界は体幹-頚移行部であった.極性及び分布はsimulationstudyから予想される結果と一致しており,P9/tN9は体幹から頚部の容積導体の大きさから生じるjunctional potentialであると結論された.この結果はElectroencephalography and Clinical Neurophysiologyに論文として掲載された. さらに少数の健常者を対象に上肢挙上・外転など様々な姿勢変化をさせたときのP9潜時や形状の変化を検討し,P9に対する上肢の内外転の影響を調べており,現在その結果を論文として準備中である.
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