我々は小児期細菌性髄膜炎患者において髄液中ネオプテリン値およびinterferon-γ(INF-γ)、tumor necrosis factor-α(TNF-α)が上昇することをすでに報告しているが、今回の研究では、両親に説明し同意を得て、臨床的適応により髄液を採取したが髄膜炎を否定された患児の髄液を解析し、熟性痙攣児における髄液中ネオプテリン値は発熱のみの児、けいれんのみの児に比して有意に高値であり、かつ痙攣が重症であるほど高値でもあることを示し、報告した。(別掲)。このことは、現在なお不明である熟性痙攣の発生機序に対する免疫学的因子の関与を示唆し、その治療・予防の確立に対し寄与するところと思われる。 なお、当初、細菌性髄膜炎における髄液中細胞がネオプテリン、INF-γおよびTNF-αの作用によりアポトーシスに陥り減少していくことを示す予定であったが、当施設および関連各病院において本研究期間中に細菌性髄膜炎患者の受診が一例もなかったので検体を収集することができなかった。本研究期間終了直前に無菌性髄膜炎患者の髄液を採取し得、現在解析中である。また、モデル動物による実験系の確立も別途進行中であり、今後は引き続き患者の発生を待って検体を収集し、データの蓄積に勤め当初の目的を達成する予定である。
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