酵素法により確立した培養ラット血管平滑筋を用いて、アンジオテンシンII type1(AT1)mRNAの発現をノーザンブロット法で評価した。 AT1mRNAの発現はアンジオテンシンII(Ang II)、Phorbol esterの刺激により時間依存性、濃度依存性に減少した。この減少はActinomycin Dの前処置により抑制され、何らかの蛋白の誘導を介してmRNAが分解されるmRNA不安定化によるものと考えられた。 AT1mRNAの不安定化をもたらすシグナルはProtein Kinase C(PKC)の阻害により抑制されたこと、Phorbol esterがAng IIと同様の反応を示すことからPKCを会するものと考えられた。またForskolinやPGE1等のProtein Kinase A(PKA)を刺激する薬剤を前処置するとAT1mRNAの減少が抑制されたことからPKAはAT1に関してはmRNA不安定化を抑えるシグナルを伝えるものと考えられた。 mRNAの不安定化をもたらす蛋白の存在を検索するために、Differential Display法により培養ラット血管平滑筋でAng II刺激により発現が誘導される遺伝子の検討を行った。 Differential Display法により2個の既知の遺伝子と複数の未知の遺伝子の誘導が亢進することが明かとなった。これらの遺伝子のmRNA不安定化に対する影響を現在検討中であるが、未だ明かではない。
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