研究概要 |
培養心室筋細胞の収縮における筋小胞体(SR)の占める役割について、培養材料であるニワトリ胚の日齢による違い及び、自動能発現の影響から比較検討した。培養心室筋細胞の収縮における細胞短縮曲線を、細胞像のvideo信号をwidthanalyzerC3160で解析することによって求めた(時間分解能20msec、空間分解能0.2μm)。12日卵胚から得た培養心室筋細胞(12日卵細胞)の細胞外刺激による細胞短縮量はryanodine(25μM)によって30%抑制され、弛緩相が延長した。また、その効果は濃度依存性であった(10^<-7>〜10^<-5>M)。ryanodineは心筋SRのCa releasechannelを開固定してSR内のCa^<2+>を枯渇させる試薬である。同じく19日卵細胞は70%抑制された。これに対して、5日卵細胞では自発収縮の場合を除いては抑制効果がなかった。また、収縮に先立つCa-transientをfura2-AMを用いた蛍光法によって検出した。Ca-transientにおいては12日卵の場合ryanodineによる下降相の延長が生じたが、5日卵細胞ではみられなかった。以上のデータによって、ニワトリ胚を材料とする培養心室筋細胞のryanodineに対する感受性は発生の進行に伴って亢進しているという結果が得られ、ニワトリ胚は、発生の進行に伴ってSRが発達し、SRからのCa^<2+>の放出、再取り込みが増大すると結論づけた。さらに、Oregon Green 488 BAPTA-5N,AMによる細胞内Ca^<2+>濃度変化の検出を試みているが、短時間(3時間程度)ではloadingができないため、長時間のloadingができる条件を検討しているところである。
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