研究概要 |
2才時に両側腎のWilms腫瘍を発症し、化学療法及び腫瘍部分切除術にて治癒と考えられていた5年後に急性骨髄性白血病を併発した6才男児の症例のAML初発時の骨髄細胞を用いて以下の方法でWT-1遺伝子のzinc finger domainの解析を行った。 方法 症例の初発時骨髄血から分離した単核球と症例の皮膚より採取、培養した繊維芽細胞からAGPC法によりtotal RNA抽出を行った。 total RNAからcDNAを合成し、WT1遺伝子cDNAのzinc finger部分であるexon 7からexon 10の間を増幅するようにprimerを設定し、RT-PCR反応を行った。RT-PCR産物をサブクローニングをした後、dideoxy法により塩基配列を決定した。 結果 RT-PCRの結果、positive controlであるHL-60,初発時の白血病細胞で予想された445bp付近にバンドが認められた。初発時患者骨髄血からのRT-PCRによって得られたDNA fragmentの複数のサブクローンのシークエンスの結果、WT1 coding resionのexon 9内にT→Cの変異が認められた。その結果、Leu524(CTG)→Pro(CCG)のアミノ酸変異があることが確認された。また、 症例の繊維芽細胞から抽出したtotal RNAからは変異は認められなかった。 現在、症例のWilms腫瘍の病理組織標本よりDNAを抽出し、WT-1遺伝子の各exonにたいしてPCRを行い、Wilms腫瘍細胞内のWT-1遺伝子変異について解析中である。
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