[目的]日本人におけるアトピー/気管支喘息の感受性遺伝子座を全ゲノムを対象とした連鎖解析により同定することを本研究の目的とした。 [対象と方法]小児気管支喘息患者を発端者とする47家系の67罹患同胞対を一次スクリーニングの対象とし、Research Genetics社の、Human Screening Setを用いて全染色体上に平均約10cM間隔で存在する386個の遺伝マーカーと気管支喘息との連鎖を罹患同胞対法により解析する。連鎖解析のプログラムとしてGeneHunter、SPLINKを用いた。本研究は筑波大学倫理委員会で承認をされ、対象者からはインフォームドコンセントを得ている。 [結果] ダニアレルギーのある日本人小児喘息患者(65罹患同胞対)で、全染色体に約10cM間隔で配置されたDNA多型マーカーと気管支喘息/アトピー形質との連鎖を解析した。有意の連鎖は5q31-q33(最大ロッド値;MLS=4.3)、4q35(MLS=2.74)、13q11(MLS=2.87)に認められた。その他、6p22-p21.3(MLD=2.13)、12q21-q23(MLS=1.92)、13q14.1-q14.3(MLS=1.93)にも連鎖が認められた。遺伝子多型は人種・民族差が強く、アジア人での解析では欧米、アフリカ、ラテン人とは異なる連鎖パターンを示すことが予想されたが、今回の結果は、白人と日本人では気管支喘息/アトピーの発症に関与する遺伝子多型に大きな類似性があることが示唆された。 [結論] 遺伝子多型は人種・民族差が強く、アジア人での解析では欧米、アフリカ、ラテン人とは異なる連鎖パターンを示すことが予想されたが、今回の結果は、白人と日本人では気管支喘息/アトピーの発症に関与する遺伝子多型に大きな類似性があることが示唆された。
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