研究概要 |
Malignant Rhabdoid Tumor(MRT=悪性横紋筋腫瘍)の培養細胞株の5株(TM87-16,STM91-16,TTC642,TTC549及びYAMRT)を用いて、RT-PCR法で種々のmRNAの発現を検討した。筋肉系のマーカーであるmyoDのみならず、myf5とmyf6はすべての細胞株で発現を認めなかった。synaptic vesicle proteinであるsynaptotagminとpresynaptic membrane proteinであるSNAP25がTM87-16とTTC642の2細胞株で未処理の段階で発現していることが明らかになった。これは、上記2株でneurofilament medium-sizedの発現を認め、TM87-16では分化誘導にてchoromograninAの発現を認めたことと一致する。また、Insulin-like growth factor IIは、STM91-01のみに発現を認めた。以上の結果より、遺伝子レベルでMRTの細胞株では筋肉系の発現を認めず、synaptoagminとSNAP25の発現より、神経系の性質を有するものが含まれていることが明らかとなり、これまでMRTに言われているMultiphenotypic diversityを証明する新たな所見を考えられた。今後は、さらに、種々のprobeを用いてMRTの性質を検索していく一方、その増殖機構については蛋白質レベルも含めて検討する予定である。
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