セロイドリポフスイーノーシス(NCL)は小児期の遺伝性脳変性疾患としては高頻度に認められる疾患である。その発症年齢から乳児型、幼児型、若年型、成人型に分類されている。痙攣、視力障害、性格変化などの神経症状が進行することを臨床上の特徴とし、ニューロンにリポフスチンやセロイドというリポピグメントの蓄積をきたすことを病理学的な特徴としている。これらリポピグメントは老化に伴い増加することから本疾患に認められる代謝異常が老化に関係していることが推察されている。しかし、NCLの本邦における臨床上の特徴、遺伝子変異分布などについては明らかにされていない。そこで本年度は日本人NCLの臨床的特徴、遺伝子変異を明らかにするため本年度は全国アンケート調査を行い36例のNCLを同定した。乳児型、幼児型、若年型、成人型がそれぞ2例、15例、15例、4例であった。この頻度は欧米の頻度と類似ひていた。幼児型、若年型、成人型の初発神経症状はそれぞれ痙撃、視力障害、性格変化が主なものであり病型によって差が認められることが明らかとなった。このうち若年型はCLN3遺伝子変異によって発症することが最近明らかにされたので日本人若年型の遺伝子変異を同定した。CaucasianではCLN3遺伝子のエクソン7〜15にわたる1.02Kbの欠失変異が全体の81%を占めることから日本人症例においてその頻度をPCR法を用いて検討したところこの変異は全く同定されなかった。 以上より日本人NCLにおいては欧米人の遺伝子変異分布が異なることを明らかにした。
|