研究概要 |
セロイドリポフスチノーシス(NCL)は遺伝性脳変性疾患のひとつである。北欧に好発するが、日本での発症頻度などは不明である。またNCLの一亜型であるBatten病(若年型NCL)においてはCLN3遺伝子の1.02kbの欠失変異が欧米人ではその約80%をしめることが明らかとなっている。しかし、日本におけるこの欠失変異の頻度などについては報告されていない。今年度はこれら日本人における問題点をアンケート調査並びに遺伝子検索によって明らかにした。アンケート調査により36例のNCLが同定され、乳児型、幼児型、若年型、成人型はそれぞれ2例、15例、15例、4例であった。痙攣が幼児型の主要初発症状であった。若年型においては視力障害が73%に認められた。日本人Batten病5例の欠失変異について検討したところ、この変異は1 alleleも認められなかった。以上のことから日本人症例と欧米症例の臨床表現型の差異は認められないが、遺伝子学的には相違があると考えられた(Molecular Genetics and Metabolism 66:344,1999)。
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