研究概要 |
皮質性視覚障害(Cortical Visual Impaiment:以下CVI)を伴う重症心身障害児(以下、重症児)10例20眼に対して、その残存視覚能力を詳細に評価するために正弦波縞パターンを用いたコントラスト感度の測定を行った。コントロール群として明らかな視覚障害を示さない重症児10例20眼と健常コントロール20例40眼が参加した。CVIの診断基準については、1,画像診断により外側膝状体から一次視覚野に至る損傷が確認されること、2,瞳孔反応(対光反射)が出現すること、3,眼科的異常が無い若しくは極めて軽度であること、4,両側性の一時的でない視覚障害を有していること、とした。刺激装置にはCambridge Research System Ltd製 VSG2/3を、呈示モニターにはSONY製21型マルチスキャンディスプレイ(CPD-21GS2)を用いた。モニターに呈示された各空間周波数(0.5,1,2,4,8 c/deg)の正弦波縞パターンを横方向に移動させながら段階的にコントラストを変化させた。EOGを測定することによってOKN(optokinetic nystagmus)が認められるかどうかによってその正弦波縞パターンが見えているかどうかを判断した。安定した測定環境を得るために暗幕によって覆われたテントの中で測定を行った。その他の情報として、被験者の日常的な視覚能力を評価するためにKatsumiらによるVisualAbility Score(VAS)を用い、また発達レベルを評価するために津守式乳幼児精神発達質問紙やBirchらのスキルに関する評価表を用いた。これらの検査から得られた評価を基にリハビリテーションを実施し、効果についても険討してゆきたい。
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