研究概要 |
PTHrPの過剰産生により高Ca血症を引き起こした小児の間葉系腫瘍infantile fibrosarcomaの組織細片を7週齢オスヌードラットの背側皮下に移植し、経時的に採血を行い、血清Ca値、PTHrP値の変動を検討した。移植後6週頃よりCa値、PTHrP値の著明な上昇を認め、患者にみられたHumoral Hypercalcemia of Malignancyと同様の病態を示した。移植後8週時の脛骨組織所見では著明な類骨の増加が認められ、血中1,25(OH)・2D値、25OHD値が低下していた。そこで、この腫瘍が宿主の腎臓における1α位水酸化酵素の発現に影響を与えるかどうかを検討するため、腫瘍を移植したヌードマウスの腎臓からtotal RNAを抽出し、1α位水酸化酵素の発現をRT-PCRで検討した。担癌マウスの腎臓においては、対照マウスと比較して1α位水酸化酵素の発現が低下しており、血中1,25(OH)・2D値の大家には、基質である25OHD値の低下に加えて1α位水酸化酵素の発現低下も関与した可能性が示唆された。さらに、肝臓における25位水酸化酵素の発現を検討したところ、担癌マウスでは25位水酸化酵素の発現はむしろ上昇しており、25OHD値の艇かは25位水酸化酵素の活性低下によるものではなく、ビタミンD欠乏症に類似した病態が合併している可能性が考えられた。現在、担癌ラットを用いて1α位水酸化酵素および25位水酸化酵素の発現を検討している。
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