研究概要 |
カテコラミン受容体はα及びβ受容体に大別されるが、これらには各々さらに幾つかのサブタイプが知られている。ランゲルハンス細胞におけるカテコラミン受容体の発現が数年前に示唆されたため、研究代表者はまずランゲルハンス細胞におけるカテコラミン受容体のサブタイプの発現を解析した。その結果、ランゲルハンス細胞においてはカテコラミンのβ2受容体が発現していることが判明した。これを踏まえつぎに代表者は、カテコラミンがランゲルハンス細胞のサイトカイン産生に及ぼす影響を検討した。ELISAによりIL-1β,IL-10,TNF-αの産生について解析したところ、エピネフリン及びノルエピネフリンはランゲルハンス細胞からのIL-1β,IL-10の産生を促進し、逆にTNF-α産生を抑制していた。さらにこれらのカテコラミンによるサイトカインの産生制御はいずれもβ-ブロッカーにて抑制され、これらの作用はβ受容体を介して発現されていることが示された。 一方代表者は以前、ランゲルハンス細胞によるIL-6、NGFさらにはbasic FGFなどの神経栄養因子の産生につき報告したが、この研究をさらに発展させるべくbrain-derivedneurotrophic factor(BDNF)及びneurotrophin-3(NT-3)の遺伝子発現及び蛋白産生をそれぞれ、RT-PCRとWestern blottingを用いて解析した。その結果ランゲルハンス細胞においてはBDNF、NT-3いずれのmRNAも発現されていることがRT-PCRにて確認されたが、Western blottingの結果、蛋白レベルではBDNFの産生のみ確認され、NT-3産生は検出されなかった。来年度はさらにBDNFのサイトカインによる産生制御を、他の神経栄養因子の解析も含め検討してゆく予定である。
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