マクロライドの培養表皮角化細胞に対する効果を、表皮細胞からのIL-8、Gro α、GMCSF、IL-6、VEGF産生抑制の面から検討した。その結果、マクロライドは、10^<-4>Mの濃度で、Gro α及びGMCSF産生を約40%抑制したが、IL-8、IL-6産生は抑制しなかった。また、VEGF産生については、同濃度において約2から3倍に産生亢進を認めた。またこれらの作用には、濃度依存性が認められた。 AP-1、NFkB等の転写因子との関連については、現在これらのコンセンサスシークエンスでコントロールされるCATベクターを作製中である。 マクロライドの尋常性乾癬にたいする臨床効果については、外来通院患者を中心に約10例に試験投与を行ったところ、滴状乾癬を含む約8例について効果が認められ、外用ステロイド剤の使用量を約2分の一から3分の一に減量することが可能であった。また残りの2例については、比較的固定したプラークタイプの皮疹を持つ患者であったが、明らかな効果は認められなかった。以上より、マクロライドの尋常性乾癬に対する効果は個人間で差があるものの、有効な症例に関しては外用ステロイド剤使用量を減量できるなどの効果が認められた。 今後臨床症例数を増やし、さらにマクロライドの転写活池に対する影響、及びランゲルハンス細胞での作用の検討を次年度の課題としたい。
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