研究概要 |
マクロライド系抗生物質は、近年、びまん性汎細気管支炎に対する有効性がクローズアップされ、その有用性については既に臨床、基礎研究において実証されている。我々は、今回の研究で、マクロライド剤が,尋常性乾癬に対しても有効であることを、臨床及び基礎の両面より明らかにした。乾癬外来通院患者20名に対し、同意を得た上てマクロライド内服を行い、PASI、掻痒、軟膏使用量に関して評価を行い、マクロライド内服が尋常性乾癬に対し有効であることを確認した。この結果は、98年度の日本乾癖学会、99年度のマクロライド新作用研究会にて発表した。また、マクロライド剤が、培養表皮細胞のGroα、GMCSF産生に対し抑制的に働くことをin vivoで確認し、99年度の日本乾癬学会にて発表した。以上は、現在Journal Dermatologyに投稿中である。さらに、マクロライド剤の表皮細胞に対するサイトカイン抑制作用機序に関して、AP-1、NFkB抑制に関する知見を得た。また、マクロライドのサイトカイン産生抑制がカルシウム依存性であることを確認し、現在発表準備中である。以上の結果は、現在根治的療法の確立されていない尋常性乾癬において、新しい治療法の確立につながる結果であり、館床上非常に有意義である。と同時に、マクロライドという抗生物質が、抗菌作用以外に抗炎症作用を有するという知見をさらに裏付けるものであり、その作用機序を含めた解析において、新たな知見を加えることとなると考えられる。
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