研究概要 |
1.徴小管阻害剤であるコルヒチンは、グリセオフルビンと同様に、ヒト毛細血管内皮細胞であるHDMEC(TNFα刺激)、HUVEC(TNFα刺激、IL-1α刺激)のVCAM-1の発現を濃度依存性(0.04-40μg/ml)に抑制した(6、12,24時間)。一方、HDMEC、HUVECのlCAM-1発現に対しては、これらの薬剤は若干の抑制作用しか示さなかった。むしろ24時間後ではコルヒチンはlCAM-1発現を増強しており、発現分子のinternalizationの抑制が想定された。 2.4.5時間、12時間TNFαで刺激後のHDMECにおける、lCAM-1、VCAM-1遺伝子発現に対するこれら薬剤の影響を半定量RT-PCR法で検討したところ、グリセオフルビンでみられたように、コルヒチンの場合でもICAM-1の遺伝子発現は有意に変化せず、VCAM-1遺伝子発現のみが選択的に柳制された。 3.徴小管安定剤タキソールが、これらの薬剤によるVCAM-1の抑制をブロックできることより、この抑制作用が微小管阻害と直接に関わるものであることが示唆された。また、グリセオフルビンで処理した細胞の方が、コルヒチンで処理した細胞に比べてタキソールによる拮抗作用を受けやすかった。 4.これらの薬剤で処理した血管内皮細胞を洗浄してTNFαで再刺激すれぱ、VCAM-1発現の再誘導が可能であった。ただし、発現抑制からの回復はグリセオフルビンの方が早く、また、細胞形態の回復とも対応した。タキソールとの相互作用も含め、これらの相違はグリセオフルビンとコルヒチンの微小管阻害の様式の相違に起因すると考えられた。
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