| 研究概要 |
これまでの研究では悪性度の高い線維組織球性腫瘍ほどPDGF β受容体の発現が強く,またdermat of ibrosarcoma prot uberans(DFSP)では特にCD34発現腫瘍細胞においてPDGF β受容体が発現されていることを明らかにした。本年度は特にこのDFSPについて細胞増殖活性,PDGF βおよびその受容体,CD34発現細胞との関連について細胞増殖活性,PDGF βおよびその受容体,CD34発現細胞との関連について検討を行った。細胞増殖活性マーカーであるKi67とPCNAの免疫組織化学染色ではこれらの陽性率はPDGF β受容体陽性,CD34陽性腫瘍細胞で高率であった。このことからCD34陽性PDGF β受容体陽性部位では細胞増殖活性も高いと考えられた。
また,以前の研究ではDFSPのPDGF-BBの陽性率はその受容体陽性率よりも低率であったため,実際にPDGF-BBが腫瘍細胞から分泌されているかについては明らかではなかった。そこで1例のDFSP患者から得られた腫瘍細胞を培養し培養上清からPDGF-BBの免疫ブロット法を行い検討した。培養により増殖してきた細胞をまずCD34で免疫染色したところ,これらの細胞はすべてCD34が陽性であった。免疫ブロット法ではDFSP腫瘍細胞培養上清中にPDGF-BBが検出された。これらの結果からPDGF-BBの産生とβ受容体の発現が同時に起こることによってDFSPではその成長を自律刺激することが示唆された。今後,さらに他の成長因子との関連やRNAレベルでの発現について検討していく予定である。
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