1. Epstein-Barr(EB)ウィルス関連皮膚リンパ腫症例の臨床、組織学的検討 皮膚リンパ腫の症例を収集し、Epstein-Barr(EB)ウィルス潜伏感染の有無を検討した。現在まで検討した症例は約100例であり、その中でEBウィルスの潜伏感染が確認された症例は約30例であった。EBウィルス陽性の皮膚リンパ腫は皮下脂肪織炎様リンパ腫、血管中心性リンパ腫などで高頻度に認められ、それぞれ6例中4例、9例中7例でEBウィルスが検出された。いずれも皮下硬結、皮膚腫瘤で発症し、皮下脂肪織炎様リンパ腫は初期にはリンパ腫と診断されていない症例が多かった。治療に対する反応性などを検討するためには更に症例の集積が必要である。 2. EBウィルス関連皮膚リンパ球増多症症例の検討 臨床的に種痘様水疱症類似の皮膚症状を示す疾患でEBウィルスが高率に検出されることをすでに報告したが、その後の追跡調査で、6例中4例が数年から約10年の経過で造血器系腫瘍を発症していることが分かった。しかし、発症した腫瘍については一定の病型は認められなかった。さらに、定型的な種痘様水疱症症例においても11例中10例で真皮内浸潤細胞の一部にEBウィルスの潜伏感染が認められた。EBウィルスが潜伏感染している細胞は浸潤細胞の5%-10%であり、陽性細胞の率は低いが、陰性対照として用いた疾患ではEBウィルスは検出されず、EBウィルスが種痘様水疱症の病態形成に何らかの役割を果たしている可能性が示唆された。
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