汎発性強皮症患者皮膚線維芽細胞におけるI型、II型TGFβレセプターの発現量は、Northern blotting及び^<125>-1-TGFβ bindingにて、正常に比し各々2倍程度増加し、I型コラーゲンは3倍前後上昇し、有意差を認めた。これは強皮症の病因の一つであるコラーゲンの過剰産生、沈着が、TGFβレセプターを含めたTGFβシグナル伝達経路と関与するのを示唆する。次に正常線維芽細胞にI型、II型TGFβレセプターをtransfectionさせ過剰発現させると、TGFβ存在下、非存在下ともCAT assayによるコラーゲンプロモーター活性は3から4倍の上昇を有意に示した。I型、II型TGFβレセプターをいっしょに過剰発現させると、より上昇した。これらの変化は、セリンスレオニンカイネースの欠損したTGFβレセプターではみられなかった。この所見は、正常線維芽細胞におけるTGFβのコラーゲン産生過程に、TGFβレセプターを介したオートクライン制御が存在するのを推測させる。また、この反応系に、細胞外より抗TGFβ抗体を投与しオートクライン制御を阻害すると、プロモーター活性は有意に低下し、プラスミン投与でオートクライン制御を活性化させると、プロモーター活性は上昇した。以上より、正常線維芽細胞においてTGFβレセプターは、オートクライン制御でコラーゲン産生を調節し、過度なレセプター発現でよりコラーゲン産生が強まる。特に汎発性強皮症患者皮膚線維芽細胞ではTGFβレセプターが増加しているため、オートクライン制御が活性化し、これを介してTGFβが増強され、コラーゲン産生を刺激していると考えられた。
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