研究概要 |
hypoxiaとアポトーシス,および放射線とアポトーシスの関係については諸家により様々な報告がなされているが,今回可移植腫瘍を用いそれらの検討をおこなった.腫瘍はヒト上衣芽腫由来の放射線高感受性株を,ヌードマウスの大腿部皮下に移植し使用した.マウスの下肢をクランプすることによりhypoxiaの状態にし,6時間後に腫瘍を摘出し,免疫組織学的染色をおこなった.アポトーシスはTUNEL染色により確認した. 1. 腫瘍内酸素分圧とアポトーシス:腫瘍内酸素分圧を測定しアポトーシスとの関係を検討したが,明らかな相関はみられなかった. 2. hypoxiaとアポトーシス:hypoxia群ではControl群に比べ,アポトーシスの頻度が高い傾向がみられたが,p53蛋白の発現頻度には明らかな差は認められなかった.またhypoxiaにした時間とアポトーシスの頻度との間には相関は認められなかった. 3. hypoxiaと細胞周期:フローサイトメトリーを用い,腫瘍細胞の細胞周期を分析した.control群とhypoxia群に明らかな細胞周期の違いは認められなかった. 4. 放射線とhypoxia:照射単独群とhypoxiaの30分後に照射した群との,アポトーシスの頻度を比較した. 両群間のアポトーシスの頻度には明らかな差は認められなかった. 今回の検討ではhypoxiaによるアポトーシスの誘導は示唆されたが,p53依存性やcell cycle arrestとの明らかな相関は指摘できなかった.
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