1. 1988年から1998年の11年間に当科で治療した頭頸部原発の非ホジキンリンパ腫168例について、原発部位、進展形式についてCT、ガリウムシンチを用いて検討した。また、全例の予後調査を行った。 2. 臨床病期は、I期が78例、II期が44例、III期が16例、IV期が30例であった。原発部位は、ワルダイエル輪が55例、頸部リンパ節42例、歯肉、口蓋13例、眼窩13例、鼻腔12例、副鼻腔12例、耳下腺部6例、甲状腺4例、その他11例であった。 3.進展形式は、II-IV期の90例について検討した。両側の頸部リンパ節腫大は、III期、IV期で全身性に播種したものや、上咽頭原発など原発部位が正中に及ぶものに認められた。一方、原発部位が片側性でII期の場合にはほとんどが患側の頸部リンパ節のみに浸潤しており、対側を侵すことはまれであった。腋窩リンパ節への浸潤は10例にみられたが、ほとんど(80%)がIII期、IV期の全身性に播種したものであった。胃への浸潤のあるものは8例で、すべてがB細胞由来であり、ワルダイエル輪原発は4例(50%)であった。 HTLV1抗原が陽性のものは、皮膚、骨への浸潤が多かった。 4. 5年生存率は、I期が82.4%、II期が56.6%、III期42.8%、IV期が17.7%であった。 5. 現在、パラフィンブロックを用いてCD44などの接着因子の発現を検査中であり、今後接着因子発現と非ホジキンリンパ腫の臓器特異性、進展形式、予後などとの関連を検討する予定である。
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