研究計画に則り、はじめに血管内超音波および血管内視鏡イメージングの合成ソフトのプログラム開発に着手した。既開発の仮想CT内視法のソフトを改良し、血管壁情報を含めた周囲のCT値情報を張り付けることで両者の3次元的統合画像が得られるようプログラミングした。プログラミングは当初難航し、試行錯誤を繰り返した結果、最終的に多断面変換表示法を応用することで目標とするプログラムの初期開発に成功した。 このプログラムが実際に作動することを確認した後、微調整を行った。この過程で得られた3次元画像の定性ならびに定量性に関する基礎的評価をおこなう必要性が高いことが判明したため、アクリルファントムによる前臨床的検討をおこなった。ファントムは生体内の管腔臓器を網羅し得るように直線型、S字型、らせん型(内外初)のチューブファントムを設計した。また狭窄ならびに隆起性病変を模倣し、チューブファントム内に大きさの異なる突起物を位置を変えて配置した。チューブファントム内を造影剤で満たし、様々な撮像条件と再構成条件で検査しプログラムの作動性を確認した。その結果、再度微調整が必要であることが判明したため、現在調整中である。これと平行して3次元的統合画像プログラムが完成した際に臨床例で評価検討できるように、大動脈瘤、大動脈解離ならびに骨盤部閉塞性動脈硬化症例の高速らせんCT検査をおこない、検査データを医用画像装置用光ディスクに記録した。この際、同一症例の検査データを様々な条件で画像再構成し保存しておく必要があるため、多くの保存用光ディスクを必要とした。 平成11年度は前臨床的研究を継続しておこない、3次元的統合CT画像プログラムの最終確認をおこなった後、研究計画に則り血管病変症例のデータを用い、臨床例における本プログラムの初期評価をおこなう予定である。
|