FISH(Fluorescence in situ hybridization)解析に用いる材料の調整として、まず、EBウイルスによってライン化した患者抹消血リンパ球を用いて、FISH用の染色体標本の作成を行った。次にFISHプローブに用いる適当なP1またはYACクローンを選択するために、インターネット上に公開されているデータベースを検索し、染色体転座切断点付近にあると思われる複数のクローンを選定した。第8番染色体上には数多くのクローンのコンティグが登録されていたので、今回選定したクローンは全て第8番染色体由来のもである。そして、その内のP1クローンについては愛媛大学の三木哲朗教授のご好意によって、そしてYACクローンについては東京大学医科学研究所の榊佳之教授のご好意によって選定した幾つかのクローンを譲っていただいた。 本年度では、P1クローンをプローブに使ったFISHスクリーニング解析をまず始めに行った。複数のP1クローンをプローブに用いたFISHスクリーニングの結果、その全てのハイブリダイゼイションシグナルが第8番染色体上のテロメア側に観察された。しかしながら、転座切断点をまたぐ様なシグナルは観察されなかった。一番セントロメア側でハイブリダイズしたP1クローンのSTSマーカーから、転座切断点はSTSマーカーD8S278よりもセントロメア側に位置していることが示唆された。さらにセントロメア側に位置するYACクローンを用いたFISHスクリーニングを行う予定である。そしてその為のYACクローンDNA抽出・精製を今現在行っているところである。
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