健康成人10名(男子6名・女子4名)を対象に、以下の記録、測定を行った(うち3名は種々の理由で中断)。尚、本研究内容について本学倫理委員会に諮ったため、研究の開始は平成10年9月になった。 1. 睡眠覚醒リズム表の自記記録(連日)。昼寝を含めた睡眠を記録するとともに、始業・終業時刻など一日の行動を記録した。また、一日の終わりに気分や能率の良し悪しなどをvisual analog scaleにて記録した。 2. 記録が続いている被検者7名のうち5名は、AMI社製Motion logger Actigraphを非利腕手首に装着して、各1分間の活動数(0.01G以上)を測定した(連日)。各分の活動数に基づいて睡眠・覚醒状態を判定した。 3. 被検者3名は、月1回1週間を原則に、ミシマワーク社製LT-8を用いて深部体温(直腸・膣温)を0.01℃の分解能で1分毎に測定した。1週間のデータに対して、24時間周期の最適余弦曲線を求め、その頂点位相を算出した。 4. 被検者4名は、12月と2〜3月の2時点で、24時間連続(1〜3時間間隔)採血を行い、血清メラトニンを測定した。室内照度は15luxにし、室内での生活はad libitumとした。 結果 本研究は季節性を検討するものであり、半年の期間では結果を導くことは出来ない。上記1.〜4.のうち概日リズムの指標として最も信頼性が高いのは4.メラトニンである。測定結果が出た3名については、冬(12月)に比べ春(2〜3月)はメラトニン濃度の夜間の上昇、朝の下降が早まる傾向が認められた。これは理論的には予測された結果である。他の指標については、必ずしもこれと一致した結果は得られていない。今後年間を通しての検討が必要である。
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