ドーパミンD4受容体の第3エクソンの48塩基繰り返し配列には2-10回の多型性が存在することが知られている。我々は、このドーパミンD4受容体遺伝子の多型を、抗精神病薬を含めた精神分裂病治療薬への反応性を予測する生物学的マーカーとして検討しようと考えている。実際に用いる治療薬としては、D4受容体に強い親和性を持つ抗精神病薬であるネモナプリドを使用している。患者に十分な説明を行い、同意書を得たのち治療を開始し、薬物治療開始4および8週間後にPANSS評価尺度を用いて陽性症状の推移を評価している。各患者の血液から抽出したDNAを、PCR法を用いてドーパミンD4受容体遺伝子の多型性を調べ、このドーパミンD4受容体遺伝子のtypeと陽性症状の推移との関連を検討しているが、現在のところ、有意な結果は得られていない。この研究に参加可能な症例をさらに集積し、続けて検討を加えていく予定である。
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