研究概要 |
抗精神病薬の副作用である悪性症候群(neuroleptic malignant syndrome:以下NMS)の発症機序を明らかにするために,NMSのモデル作製と,ryanodine receptor 1(RyR1)antisense oligonucleotide投与による症状抑制を目的とした研究を計画した.今年度は,NMSモデルの作製を行った. 1. 図譜でラットの脳室の位置を確認し,脳定位手術によりryanodineやRyR1 antisense oligonucleotideを注入できるようにガイドカニューレを装着した. 2. haloperidolを5mg/kg/dayで,2週間腹腔内投与した. 3. northern blottingによりRyR1 mRNAの発現量を検討した. 4. ryanodine 1μg/μlを脳室内投与した. 5. 投与後の直腸温の測定を行った. 以上の実験の成果として以下の結果が得られた. 1. haloperidolを5mg/kg/dayで,投与することにより,脳内RyR1 mRNAの誘導が確認された. 2. Tyanodine 1μg/μlの脳内投与群は,生理的食塩水投与群に比較して,直腸温の軽度の上昇がみられたが,両群間に有意差はなかった. RyR1を開口させCa^<2+>を放出させる薬剤として,ryanodineと共にcaffeineが知られている.従って,脳室内投与するryanodineの濃度の調節あるいはcaffeine投与を検討する予定である.また,RyR1 antisense oligonucleotide投与時の直腸温,行動学的な変化についての検討する予定である.
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