発作性運動誘発性コレオアテトーシス(paroxysmal kinesigenic choreoathetosis:PKC)罹患者14名を含む3世代の家系34名に研究の主旨、方法等に理解、同意を得た上で、詳細に病歴を聴取し血液15mlを採取した。うち5mlを用いて株化細胞を樹立し凍結保存し、10mlからDNAを抽出した。全ゲノムを網羅する約500のマイクロサテライト・マーカーを用いて各家系構成員の多型解析を行い、各マーカーについて、遺伝子頻度を1/10000、浸透率を1.0及び0.8の2通りに仮定して2点LOD値を算出した。浸透率を1.0と仮定すると全マーカーで連鎖を認めず、浸透率を0.8と仮定するとマーカーC3で組み替え率0においてLOD値2.51の連鎖の傾向を認めた。このマーカーの周辺に10個のマイクロサテライト・マーカーを設定し、当初の1家系に加え、同意を得られた罹患者5名を含む3世代16名からなる家系、及び、罹患者3名を含む2世代4名の家系を加えた計3家系を対象に同様に多型解析を行い、浸透率を0.9、0.8、0.7、0.6の各々に仮定して2点LOD値を算出した。マーカーC2において浸透率を0.7のとき組み替え率0で最大のLOD値4.35を得た。マーカーC2、C3では、解析を行ったいずれの浸透率でも3以上の有意な連鎖を認めた。ハプロタイプ解析によりマーカーC1とC4との間の16.1cMの領域に連鎖領域を同定した。現在、本研究の結果を投稿準備中であり、平行して、責任遺伝子の同定を試みている。
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