精神科外来にてDSM4で、major depressionと診断され、寛解状態にある患者に対して、心理的介入を行いその効果判定を検討した。介入方法としては、Munoz R.F.のthe prevention for depressionを日本人向けに翻訳した「抑うつ気分の予防のための講習」を用いある程度の効果が認められたが、行動療法的アプローチを講習の中心として認知的アプローチは思考に気分が影響を与えているという理解にとどめ、ビデオも短縮した改訂版を使用し、そのうつ病再発予防効果について、検討した。前回報告した14例より講習参加者数は増え28例に至った。評価項目としては、前回使用したCES-D(Center for Epidemiologic Studies of Depression)は、自記式のうつ病状評価尺度であるが、 BDI(Beck Depression Inventory)と重複する点が多く、協力者の負担にもなるために、割愛した。平均年齢は、48.9歳(標準偏差11.3歳)、男性7例、女性21例、BDIは、介入前8.0(SD±6.6)、介入直後8.4(SD±7.2)、1年後は6.4(SD±5.6)となっていた。HDS(Hamilton Depression Scale)では、それぞれ、8.8(SD±6.4)、6.9(SD±5.3)、5.6(SD±4.5)となっていた。ただし1年後に調査が実施できたのは19例である。統計的有意差は認められなかったが、1年後は、介入前に比べて、うつ症状の軽減が認められた。また、HDSかBDIのどちらかで15点以上を再発とした場合、再発は、1例であった。一方コントロールグループとして、40名のmajor depression の寛解状態にある患者を抽出し、1年間一般的な薬物療法にて維持療法を行った後に、脱落例を除いた、23例の評価の結果は、再発は8例であり、明らかに心理的介入群の方が再発が少なかった。
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