研究概要 |
1δ型プロテインフォスファターゼ(PP1δ)の触媒サブユニットmRNAには、多くの臓器で発現する3.2kbのアイソタイプ(3.2kbPP1δ)と、骨髄と脾臓に特異的に発現している2.4kbのアイソタイプ(2.4kbPP1δ)があり、2.4kbPP1δのcDNAをクローニングすることが本研究の目的である。申請当初は、我々が既に単離報告した3.2kbPP1δ cDNAをプローブとして骨髄および脾臓cDNAライブラリーから得る計画であったが、クローニングの効率を向上させるため3'RACE(Rapid Amplification cDNA End)法による実験を加えている。1型プロテインフォスファターゼ(PP1)には1α,1γ1,lγ2,1δのアイソタイプかあり、5'側は相同性が高く3'側が各アイソタイプに特異的な塩基配列となっている。従って、2.4kbPP1δ cDNAも5'側は3.2kbPP1δ cDNAと相同性が高く、3'側が特異的塩基配列となっている可能性が高い。3'RACE法は3'側塩基配列が未知な場合に用いられ、この場合、PP1δの3'側塩基配列で特異性の高い部分にプライマーを設定し、同法を行えば3.2kbPP1δ cDNAと共に2.4kbPP1δ cDNAが得られる可能性がある。また、5'側にもPP1δに特異性の高い塩基配列があり、そこにもプライマーを設定し同法を行った。次に、得られたクローンを数種の制限酵素で処理し、既に我々が報告したPP1の各アイソタイプの制限酵素地図と比較し、異同を検討した。【結果】数種類のクローンが得られ制限酵素処理したところ、2.4kbPP1δと思われるクローンが得られた。現在、塩基配列をコンピューターで解析し2.4kbPP1δ cDNAか検討している。【今後の計画】得たクローンで未解析のものもあり、あわせて検討していく。完全長cDNAが得られない場合は、今回明らかになった特異的塩基配列をプローブとし、骨髄と脾臓のcDNAライブラリーから完全長cDNAを得る。続いて、ヒト組織ノーザンプロットでノーザン法を行い発現パターンを確認する。
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