1. 造血器悪性腫瘍、及び固形腫瘍患者の化学療法後にG-CSF投与を併用し、白血球回復期に血液成分分離装置CS3000を用いてヒト末梢血幹細胞を採取し、これらの細胞からCD34精製抗体にて反応後、MiniMACSを用いてCD34陽性細胞を純化分離した。蛍光標識のCD34抗体にて染色し、フローサイトメトリーにてCD34陽性細胞の純度を評価した。CD34陽性細胞の末梢血幹細胞からの回収率は76.3%、CD34陽性細胞の純度は96.9%であった。 2. 純化されたCD34陽性細胞2x10^6/mlを用いて10%FCS加RPMIにてGM-CSF(50ng/ml)、IL-4(50ng/ml)、FLT-3 ligand(FL;50ng/ml)を添加し、GM-CSF+IL-4、GM-CSF+IL-4+FLの2群にわけて10日間液体培養を行った。 (1) 10日間培養後の細胞数はGM-CSF+IL-4添加群で1.7倍、GM-CSF+IL-4+FL添加群では2.1倍と差は認めなかった。 (2) 次に蛍光標識のCD1a、CD14、CD80、CD83、CD86、HLA-DRを用いて誘導された樹状細胞の表現型をフローサイトメトリーにて評価した。 CD1a CD80 CD83 CD86 HLA-DR CD14 FL無添加群 10.1±3.2 9.6±2.2 3.2±1.1 7.4±1.9 54.1±19.4 5.0±1.4 FL添加群 16.1±2.2 9.8±2.5 3.9±1.4 9.8±2.2 62.8±20.4 3.0+:0.1 FL添加群にてCD1a陽性細胞がより多く誘導された。 (3) また培養細胞数においても培養前のコントロールのCD1a陽性細胞数0.12±0.04×10^5に対し、FL無添加群では5.3±1.63×10^5、FL添加群では12.8±1.23×10^5と増加し、FL添加群はFL無添加群と比べて有意に増加を認めた(p<0.05)。これらのことから化学療法後に動員された末梢血CD34陽性細胞からCD1a陽性の樹状細胞が誘導され、FLの添加によりさらに増幅されることがわかった。 3. 今後はこれら誘導されたCDla細胞を用いて同種、または自己のT細胞の増殖刺激効果、及び抗原提示されたT細胞による抗腫瘍効果をLDH release assayを用いて検討する予定である。
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