研究概要 |
まず,マウスの骨髄由来ストローマ細胞株であるMS5が6週以上に亘りヒトの造血前駆細胞のコロニー形成能を支持するという知見をもとに,ヒト臍帯血,あるいは末梢血CD34陽性細胞表面のIL-6受容体(R)発現レベルに着目し,セルソーターにて分取したCD34^+IL-6R^+あるいはCD34^+IL-6R^-細胞をMS5と共培養した時のLTC-ICの頻度について検討を加えた.その結果Tajimaらによる報告とは一部異なる結果となった.次にヒト骨髄支持細胞との共培養を試みたところ,結果はMS5との共培養とはやはり異なるものであった.今後は,ヒトとマウスの骨髄支持細胞における造血前駆細胞の多分化能を支持する機構の相違点について解析を加える必要があると考え,研究を展開していく予定である.つまり,LTC-ICの頻度のみならず細胞周期やテロメラーゼ活性などの他の生物学的なパラメーターとの相関などについて検討することにより,骨髄支持細胞が造血前駆細胞の増殖と分化におよぼす影響を詳細に解析することが可能であると考えている.
|