対象は好塩基球増多を有する骨髄異形成症候群(MDS)1例、好酸球増多を有する骨髄性白血病1例、好酸球性白血病1例の3例 FISH法を用いた転座切断点に位置する責任遺伝子のpositional cloning TEL遺伝子cosmid contigを用い12p13切断点を解析した。全例で転座切断点がTEL遺伝子のintron 1A或いは2内に存在した。5q31上の切断点はCEPH YAC library及びLBNL P1 contigを用いた解析で3例でYAC854g6内に存在しIRF1遺伝子のセントロメア側に位置するP1 H20内で2例、BAC127M13内で1例が転座を起こしていた。 TEL fusion transcriptの発現の解析 TEL遺伝子内に特異的primerを置き3'RACE法により3例でTEL融合遺伝子を検出、fusion partner geneの全長cDNAをヒト骨髄cDNAより単離したところ3128 bpの塩基配列を得た。NCBI Blastによる相同性解析より既知のrattus fatty acyl CoA synthetase 2(ACS2)遺伝子とアミノ酸レベルで92%の相同性を有しヒトhomologであることが判明した(Gen Bank AF099740)。TEL/ACS2融合遺伝子の塩基配列解析では、2例でfusion breakpoint直後にout frame fusionからstop codonが出現し、MDS例ではTEL遺伝子がACS23'UTRと融合し発現していた。ACS2/TEL融合遺伝子は2例で発現が認められたがout frame fusionを起こしていた。FISH解析で得られたH20内にACS2 cDNAのexonが存在する事がBLAST解析から判明した。Northern解析でACS2のヒトにおける発現臓器は脳、精巣、骨髄、胎生肝である事が判明した。 まとめ)本転座においては転座の結果、3例で12p13上のTEL遺伝子と5q31上のACS2遺伝子がhead to tailに融合していた。生じたchimeric transcriptは部分的にしか蛋白翻訳されず両遺伝子のloss of functionが発癌、病態に関与すると考えられた。
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