p16^<INK4A>は癌抑制蛋白であるretinoblastoma protein(RB)のリン酸化を抑制することによって細胞増殖を停止させる働きがある。多くの種類の癌細胞においてこのp16^<INK4A>遺伝子に異常が認められた。我々も白血病細胞でp16^<INK4A>遺伝子が欠損しているのもを樹立し、p16^<INK4A>遺伝子欠損が白血病化に寄与していることを既に報告している。更に興味深いことにこのp16^<INK4A>蛋白に機能に重要な部分は中心部の一部であり、この一部の微小蛋白を人工的に作製し、癌治療に用いることができないか否かを検討することが本研究の目的である。 我々はp16^<INK4A>の機能的に重要な部分を含む微小蛋白粒子を人工的に15種類作製した。これらを白血病細胞の培養液に添加したところaa 100-120がflowcytometry上最も強い細胞増殖抑制作用を有していた。この抑制作用がp16^<INK4A>による抑制作用であるか否かを検討するためにGST-RB fusion proteinを用いて機能アッセイを行ったところRB phosphorylationの低下が認められ、p16^<INK4A>が細胞内に取り込まれ、RBを抑制することによって細胞増殖を停止し(G1 growtharrest)たものと考えられた。更に我々はBalb/c miceを用いたin vivo modelにおいてこのa100-120の微小蛋白を静脈内投与した際の白血病・悪性リンパ腫の増殖抑制試験に入る段階である。
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