研究概要 |
〔目的〕近年レチノイド治床が悪性腫瘍に対して効果を示していることより,我々は,成人T細胞白血病(ATC)細胞に対するレチノイド酸の効果を検討すると同時に液化還元素(レドックス制御系)におけるATL由来因子(ADF)/チオレトキシン(TRX)とGSH(還元〓グルタリレオン)の関与について検討した。〔方法〕HTLV-I(+)T細胞(ATL-2,HOT102)と(-)T細胞株(HOLT-4,Junkat)をRAを10^<-11>〜10^<-5>で添加培養後の細胞増殖能と,1L-2Rα/CD25の発現の変化を観察した。また,レドックス制御系の関与を,Thiol無添加培地に10gml ADF,lylrlTRX,10^<-5>ML-gstire10^4GSHを添加後の^3H-Thyinaineのuptakeの変化を観察した。〔結果〕ATL-2,HOUT102ではともにRA添加24時間で,CD25の発現低下と,細胞増殖抑制効果が観察されたが,MOLT-4,Juleatでは認められなかった。HOT102のSingle cloningを移行した結果RA感受性clone・(MS,M6,M7)と抵抗性clone(Mδ)を樹立した。HU9102,ATL-2はThiol無添加培地で添加培地に比べ著名なViabilityの低下と細胞増殖抑制効果が認められた。ATL-2をthiol化合物の前処理により,RAの効果が減弱し,抵抗性を獲得することが観察された。正常リンパ球に対しては,RAは影響を与えなかった。〔考察〕RAはHTLV-I感染細胞に対して細胞増殖抑制を誘導することができ,その機序として,thiol依存性反応系(レドックス制御系)を介する経路が示唆された。また,RAは正常リンパ球に対し影響を与えずATL細胞特異的に細胞傷害活性を示すと考えられた。今後の研究の展開としては,RA感受性cloneのRA反応性のメカニズムを,レドックス制御系意外にレチノイレ酸レセプター(RAR.RXR)や,細胞内レチノイン酸結合蛋白(CRABP)の関与も研究していく予定である。 また,実際のATL患者に対してもin vitroで,RAの反応性を検討しているが,感受性群と抵抗性群に分けられることが観察されており,今後症例数を増やしていく予定である。
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