研究概要 |
NHE調節因子には今までにNHERFとE3KARPという2種類の蛋白質が報告されている。後者はラットではまだクローニングされていない。我々はRT-PCR法を用いE3KARPの部分配列のクローニングを行った。DNA配列の213から467番までを解析した結果、ヒトと比較しDNAでは86.3%、アミノ酸では83.5%の相同性を示した。同様にRT-PCR法を用いてNHE3,NHERF,GAPDHのcDNAプローブを作成した。 次にWistar-Kyoto ラット(WKY)および高血圧自然発症ラット(SHR)、それぞれ4週令、11週令ついて上記のmRNAの定量を、RNase protection assay法を用いて行った。結果は、NHE3ではmRNA発現に差は認めなかったが、NHERFでは4週令、11週令ともにSHRで発現量が低かった(p<0.05)。E3KARPでは11週令にてSHRで発現量が多かった(p<0.05)。 更にSHRにamlodipine,enalaprilを10μg/kg/日,6週授与し同様の検討を行った。am1odipine,cnalaprilそれぞれの投与にて有意に血圧の低下を認めた。mRNA発現については、E3KARPでは無投薬のSHRに比べ、降圧薬投与のSHRにて発現量の低下傾向を認めたが、NHE3,NHERFについては差が認められなかった。 以上の結果より、NHERFについては、SHRにて発現量の低下を認めており、NHE3活性、および、高血圧発症の要因の一つとなる可能性が考えられた。またE3KARPについてはSHR高血圧発症とともに発現量が低下し、降圧治療にてその低下を認める傾向があることより、高血圧発症の結果生じている変化の可能性が示唆される。
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