研究概要 |
副腎皮質刺激ホルモン受容体(ACTH-R)遺伝子の第一エクソンをプローブとして、NIH3T3細胞より作製したゲノムライブラリーをスクリーニングすることにより得られたファージクローンをマッピングした。プローブ配列を含むDNA断片(EcoRI/SacI0.8kb)およびその直上流に位置するDNA断片(EcoRI/EcoRI2.2kb)に関して塩基配列決定し、並行して、マウス副腎より得たmRNAを鋳型にプライマー伸長法を施行した。その結果、124bpに亘り4つの転写開始点が存在すること、塩基配列決定により得られた情報と併せ、いづれの転写開始点上流にもTATA box,、GC boxおよびCAAT配列は存在しないことを明らかにした。 次に、第一エクソンと転写開始点上流約2kbを含むDNA断片に関して、5'側DNAを欠失させた種々の長さをもつDNA断片を作製し、レポーター遺伝子としてルシフェラーゼ遺伝子を有するベクターに挿入し、遺伝子導入実験を行った。導入細胞として、マウス副腎細胞株であるY-1細胞と対照としてマウス線維芽細胞株であるNIH3T3細胞を用いた。予備実験結果から最下流転写開始点上流195bp内に副腎特異的発現調節領域が存在することが明らかになった。また、最下流転写開始点上流195bpに関して、さらに詳細に欠失変異体導入ベクターを作製し、ルシフェラーゼ活性を検討したところ、最下流転写開始点上流62bp内に最小プロモーター領域が存在すること、5'上流から2つの転写開始点の近接領域にはプロモーター活性を有さないことが判明した。
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