研究概要 |
1. 事前に同意を得られた高HDLコレステロール血症20例(100mg/dl以上)を対象にコレステリルエステル転送蛋白(CETP)欠損症の共通変異(イントロン14スプライス異常、エキソン15ミスセンス変異)のスクリーニングを既報のごとく行い(Inazu A et al.J Clin Invest,94:1872-1882,1994)、また、血清CETP値を測定した。血清CETP値はわれわれが共同開発したELISA法で行った(Kiyohara T et al.Clin Chim Acta,271:109-118,1998)。ヘパリン負荷リパーゼ活性にて肝性リパーゼ(HTGL)欠損症の可能性を検討した。HDLレセプターであるスカベンジャーレセプターSR-BIのmRNAは、末梢血単核球および脂肪肉腫細胞の細胞株SW872にRT-PCR法にて発現を確認した。SR-BI活性は末梢血単核球で定量できる可能性が示唆された。 2. CETP欠損症の臨床像を検討するため、地域一般住民を対象に遺伝疫学調査をおこなった。その結果、HDLコレステロール値80mg/dl以上ではCETP欠損症の有無に関係なく、虚血性心疾患の有病率が1.0〜1.3%と低値であることを報告した(Moriyama Y et al.Prev Med,27:659-667,1998)。 3. 薬物治療における血清CETP値測定の有用性を検討した。黄色腫を伴う高LDLコレステロール血症例において、治療前の血清CETP値が高値の症例では黄色腫に対する薬物治療反応性が良好であった(Inazu A et al.Atherosclerosis,in press,1999)。
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