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1998 年度 実績報告書

低HDL血症の病因の細胞生物学的研究

研究課題

研究課題/領域番号 10770573
研究機関名古屋市立大学

研究代表者

辻田 麻紀  名古屋市立大学, 医学部, 助手 (10253262)

キーワードapolipoprotein Al / cholesterol efflux / probucol / HDL / HDL代謝 / RT-PCR
研究概要

脂質freeのアポリポタンパク質によるコレステロールの細胞からの搬出機構がprobucol処理によって完全に停止する事を利用して、マウス全身におけるアポリポ蛋白質によるコレステロール搬出機構が生理的に占める役割を調べた。各種濃度のprobucolをマウスチャウに混合し与えたところ、0.2%含有チャウを1週間投与したマウスで血漿中HDLの95%が消失した.血漿中HDL量はその新生量((1))と代謝量((2))の差であるので、それぞれの経路でのprobucolの影響を観察した.((2))HDLの代謝速度は次のように測定した。マウス[3H]HDLを調整し、control及びprobucol喰を与えたマウスの尾側静脈へ注入し、時間ごとに血漿中の放射活性を測定し、[3H]HDL代謝速度を算出した.control喰並びに0.5%probucol喰を3日間投与した時FCRに差は見られなかった。このことはHDLの代謝にprobucolが影響しないことを示している.((1))のHDL新生に関わる因子としてapoAlの発現量と、末梢細胞でのapoAlによるコレステロールの搬出を観察した.RT-PCRにより各種probucol濃度のチャウ処理2週間後の肝臓でのapoAlの発現量を見るといずれも差は見られず、apoAlの発現にprobucolが影響しないことがわかった.続いて、マウス腹腔マクロファージをこれらのマウスより取り出し、apoAlによるコレステロールの搬出、細胞内コレステロールプールの減少、及び細胞表面とapoAlとの特異的な結合のすべての反応が停止していた.このことは我々がBiochemistry(1996)35:13011-13020で報告したin vitro実験の結果を再現するもので、probucolを経口投与した場合においてもアポリポ蛋白質による特異的なコレステロールの搬出機構が末梢細胞で失われていることがわかった.以上の事により、probucolの経口投与によりHDLが急速に消失した原因は、このアポリポ蛋白質によるコレステロールの搬出機構が停止したためであると考えられる.以上の結果はマウスにおいてアポリポ蛋白質による特異的なコレステロールの搬出機構が主なHDLの産生源であることを強く示唆する.

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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