研究概要 |
1. 市販の安定同位体ぶどう糖(6,6-d_2-glucose)と通常の50%ぶどう糖注射液を混合し、フィルター処理・オートクレーブ滅菌、バイアルへの封入を行い、薬局法に基づくエンドトキシンの定量を行い、注射液の作製、安全性の確保に関する事項を確立した。 2. 健常者ボランティア(8名)、2型糖尿病患者(11名)を対象に上記ぶどう糖を用いた負荷試験を開始し、注射液の安全性には臨床的にも問題を認めなかった。 3. 血糖値、安定同位体ぶどう糖濃度(ガスクロマトグラフィー質量分析法)、インスリン濃度(ラジオイムノアッセイ法)を測定し、血糖値、インスリン濃度から従来のミニマルモデル解析によるSi(インスリン感受性指数)、Sg(glucose effectiveness)(末梢組織、肝臓両者を含む指標)を求めた。また安定同位体ぶどう糖濃度、インスリン濃度から末梢組織におけるSi^*、Sg^*を求めた。 4. 2型糖尿病患者においてSi×10^4=6.2±0.7[(μU/ml)^<-1>・min^<-1>](Mean±SE)、Sg=0.0132±0.0015(min^<-1>)であり、健常者の11.8±2.6および0.0203±0.0022よりそれぞれ有意に低値であった。一方、糖尿病におけるSi^*×10^4=6.2±0.7は、健常者の11.0±1.9より有意に低値であったが、Sg^*=0.0069±0.0004は、健常者の0.0079±0.0006と有意差を認めなかった。したがって2型糖尿病におけるSgの低下には、肝臓におけるglucose effectivenessの低下が関与している可能性が示唆された。 5. 上記負荷試験中の内因性ぶどう糖産生を推定するため、負荷試験のデータをもちいてtwo compartmentミニマルモデル解析による内因性糖産生の解析を進め、また症例数を増やしている段階である。
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