電位感受性色素を用いた光学的測定による、細胞外グルコース濃度の変化によるラット脳神経細胞の神経活動性変動の検討で、初年度(平成10年度〜11年度)の結果をまとめると、1)脳神経核により低グルコースに対する感受性が異なること(同濃度の低グルコースにより、興奮伝播の抑制が見られる神経核と抑制前に一過性に促進が見られる神経核とがあり、また抑制の程度も神経核により異なる)、2)STZ糖尿病ラットの脳では低グルコースによる感受性が高く、容易に活動性変動を示すこと、3)In Vitroの低グルコースの曝露により、低グルコースへの感受性が低下し、2度目の投与では神経活動性変動が起きにくいことが明らかとなった(Acute adaptation)。今年度、低グルコースによる神経活動性変動の機序を薬理学的に検討した結果、グルコーストランスポーターとモノカルボントランスポーターともに関与している事が示唆された、上記Acute adaptationにはモノカルボン酸トランスポーターが一部関与していることが示唆された(第50回西日本生理学会にて報告)。インスリン低血糖ラットを作製し、低グルコースによる神経活動性変動を検討したが、低グルコースによる感受性は低下し、変動の程度が少なかった。その機序として、グルコーストランスポーターよりもむしろモノカルボン酸トランスポーターの関与が強く、低血糖後の神経機能にグリアを介するエネルギー代謝が関与していることが示唆された(第43回日本糖尿病学会総会にて発表予定)。
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