研究概要 |
心臓移植における移植後慢性期の冠動脈硬化による心筋梗塞を抑制するためにその原因因子の特定、予防が研究されているが、はっきりした治療が確立されていない。接着分子抗体による免疫寛容とFK506による免疫抑制療法の違いについて慢性期における組織像を検討したところ明らかに接着分子療法による寛容を得たマウスは動脈硬化がなかったのに対しFK506による治療群では,動脈硬化が発生している事を発見し、一般的に動脈硬化を起こす物質でエンドセリンが注目されているが、接着分子抗体により、エンドセリンの分泌が抑制され動脈硬化を抑えることができる事を示し、FK506との違いを検討した。既に確立しているマウス異所性心移植モデルを使用し、FK506による治療群と抗接着分子抗体(抗マウスICAM-1抗体と抗マウスLFA-1抗体)を使用して免疫寛容を得た群を比較し1週、2週、4週、8週等の組織像の比較さらに免疫染色によるエンドセリンの存在を検討した。組織像では明らかな動脈硬化の発生に有意差があり接着分子抗体で治療した群では動脈硬化が進行しないことがわかった。同時に行われた免疫染色でFK506による治療群では、明らかなエンドセリンの存在を認めた。さらにエンドセリンのm-RNAの分布を検索し血管内皮細胞における有意性の証明を行うため、本来予定していなかったPCR増幅器を購入し、in situ PCRを行っているが、時間設定温度設定などで安定せず、良好な結果が得られていない。結果は十分証明されたとは言い難く、発表するに至っていないが、PCRの実験の継続、エンドセリンのノックアウトマウスを使用した実験を予定しており、目的とした結果が得られると確信している。
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